"「新興国は、なぜ先進国になれないか?」理由の4つめは、恩を仇で返す人が多いからです。「恩を受けたら仇で百倍返し」というほどの勢いです。**********************************..."
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「新興国は、なぜ先進国になれないか?」
理由の4つめは、恩を仇で返す人が多いからです。
「恩を受けたら仇で百倍返し」というほどの勢いです。
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もちろん、恩を受けたことを感じないわけではありません。
そのときは「一生忘れません」と涙を流して感謝します。
しかし情勢が変わると、すぐ裏切るのです。
しかも怒った相手に復讐されないよう、徹底的に。
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三国志演義にこんな話があります。
曹操は陳宮とともに追われて逃げている時、ある知人の富豪(呂伯奢)に助けられ家に泊めてもらいました。
主人の呂伯奢が酒を買いに行っている間に、家の者がなにか密談しながらカチャカチャ準備していました。
曹操はそれを「自分たちを殺す用意」、呂伯奢が酒を買いに行ったのは「密告して俺たちを捕まえるため」と判断し、家の者を皆殺しにします。
しかしそれは単なる食事の支度でした。
曹操と陳宮はすぐ自分たちの勘違いに気づき、逃げることにしました。
途中で主人の呂伯奢に会いましたが、ふたりは嘘をついてそのまますれ違います。
しばらくして曹操は「そうだ!」と思い立ち、呂伯奢を追います。
戻ってきた曹操に陳宮が聞くと、「面倒なことになるから呂伯奢も殺してきた」と答えます。
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曹操にはこんな話もあります。
あるとき自軍の食料が少なくなって、リーダーである自分に不満が集まりました。
そこで曹操はいきなり、何の罪もない食料担当者を斬って殺します。そして
「食料不足はこいつが横領していたのが原因だ! 俺がそれを発見して対処したからみんな安心しろ!」
と言い放ちました。
この機転のおかげで曹操のカリスマは増し、軍の士気も上がりました。
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三国志演義は創作なので、その分は割り引いて考えなくてはなりません。
それでもこれらのエピソードは、日本人に強烈な違和感を与えます。
読んでから何十年も経つのに、忘れることができません。
「乱世の英雄譚」「悪のリーダー学」として読むことはできても、こんな人が近くにいたらイヤだなあと思ってしまうのです。
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おかげで日本では、けっこうなワルなのに相対的に良い人に見える劉備のほうに人気があります。
中国では曹操が圧倒的に人気だそうです。
お国柄というか、民族性そのままです。
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ではなぜ我々はこれらのエピソードに違和感を感じるのか?
それは恩人を裏切ることは「恥」と考えるからかもしれません。
おそらく西洋人も「罪」の文化から違和感を感じると思います。
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「恥」や「罪」の文化は、その国の倫理を支えています。
社会秩序が崩れそうなときに、ギリギリのところで踏みとどまる「心の安全装置」なのです。
短期的にはそれに縛られて苦労したり、逆手に取られて利用されることもあります。
しかし長期的には社会の相互依存システムを支え、共存共栄を実現させます。
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一方で、「心の安全装置」を持たない人々もいます。
その人たちの眼には、他人からの援助や優しさが「弱さ」に映ります。
助ければ助けるほど要求が増え、居丈高になるのです。
もちろん先進国にもそんな人はいますが、決して多数派ではありません。
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「心の安全装置」を持たない文化では、相手を全滅させるのが基本です。
中途半端にやったままでは、次に自分たちが全滅させられるからです。
優しい人間は敵からも味方からも利用され、適当な時期に殺されます。
だからいつも罵倒し合い、殺し合いばかりしているのです。
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呂伯奢は曹操にとって知人であり、危ないところを助けてくれた命の恩人です。
曹操は自分の猜疑心から呂伯奢の家族を殺すのですが、刑に服するどころか謝ることすらしません。
それどころか「あとくされがないように」と知人・恩人かつ被害者である主人まで殺してしまいました。
利害の前には恩は関係ない。むしろ恩人の怒りを買ったまま生かしておけば自分が危ないという考えです。
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日本は周辺国に資金や技術などを援助してきました。
天安門事件で制裁を食らっているときに、いちはやく助けたこともあります。
最近になってそれを仇で返されていることを知り、多くの日本人が怒り始めています。
さて恩人が怒っているのを見て、曹操だったら何を考えるでしょう。
身を守るヒントは古典の中にあります。
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- ワイルドインベスターズ投資ブログ:新興国が先進国になれない理由(4)恩を受けたら仇で百倍返し (via youcean)
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