"代々木にそびえるドコモタワー。地上240メートルの塔には窓らしきものがほとんど見えず、2000年9月の完成時から、「いったい何のビルなのか?」とウワサになっていた建物だ。 「外部の人は入れない。報道..."



代々木にそびえるドコモタワー。地上240メートルの塔には窓らしきものがほとんど見えず、2000年9月の完成時から、「いったい何のビルなのか?」とウワサになっていた建物だ。



 「外部の人は入れない。報道関係者にも初めての公開」だと言う、このビルに潜入した。



ビルの正式名称は「NTTドコモ代々木ビル」。地上50階建ての、まさに塔という風情の建物だ。部屋があるのは下半分、25階まで。26F以上は支柱とケーブルが走る空洞になっている。屋根もなく、「雨が降ったら傘を持参」とのこと。てっぺんの50階まで上るには階段を使う。「570段あります。10分弱でつきますよ」。なかなかハードである。



 この塔の中では何が行われているのかというと、そのほとんどが通信設備。しかもNTTドコモの未来を支えるFOMAの設備である。この塔に何かあったら、新宿近辺のFOMAが大ダメージを受ける。立入禁止になっているわけだ。



 塔の上部にあるパラボラアンテナがFOMAか!? と思ったら、こちらはPDCなどの中継用アンテナだという。240メートルもあるのは、高いところに設置する必要があったから。確かに周りには高い建物はあまりなく、実に見晴らしがいい。支柱の隙間からは都庁が下の方に見えたくらいだ(単に距離が離れていただけだが)。



 頂上にある長い赤白の棒は、よほど重要なアンテナなのだろう……と思っていたら、こちらは設備をつり上げるクレーンなのだという。年に数回だが、棒が二つに割れて、クレーンが基地局などをつり上げる。一度は見てみたい光景だ。



今度は建物の中も見てみよう。25階や23階、21階、19階には(そういえば、なぜ奇数階だけなのだろう?)、FOMA関連の設備が置かれている。「IMTシステム」「IMT基地局設備」というものだ。



 いろんな機械がたくさんあるが、これらはすべて稼働中のもの。あなたのパケットが、僕の音声が、いままさにここを通っているのだ。



 FOMAから出された音声やデータは、電波に乗って、まずは基地局のアンテナにたどり着く。505iシリーズのような第2世代のPDC方式とは違い、FOMAは複数の基地局と通信できる「レイク受信」という賢い仕組みが備わっている(別にFOMAに限ったわけじゃなくて、auのcdmaOneやCDMA2000 1xなどCDMA系の通信方式ではみんなそうだけど)。



 さてそのアンテナの先にあるのが、基地局だ。通信業界の用語では、携帯電話を「Mobile Station」──略してMS、基地局を「Base Trasfer Station」──略して「BTS」と呼ぶ。呼び方は何でもいいが、これが現在稼働中のFOMA基地局だ。



 基地局に入ったデータは、今度は基地局制御装置「Radio Network Controller:RNC」に送られる。基地局数十台に対して、制御装置が1台必要で、代々木ビルにもたくさんの制御装置が置かれている。



 この制御装置「RNC」数十台につき1個、必要なのがコアネットワークに属する移動交換局「Mobile Multimedia Switching System:MMS」だ。



 制御装置と移動交換局の間は、NTTグループが誇る「ATM」でつながれている。現金預払機ではなくて、歴史的な高機能通信プロトコルである。TCP/IPのパケットのように、音声やデータをセルに分割して送受信する。「(TCP/IPとは違い)遅延や帯域の揺らぎがない。音声を通すにはいい」と、ATMのメリットを話してもらった。



 うーん、複雑。しかしこれこそが、FOMAネットワークの心臓部であり、日本全国のFOMAユーザー“約100万人”を支える最重要施設なのである。







- Mobile:FOMAを支えるドコモタワーに潜入 (via petapeta)

via Tumblr http://ift.tt/1Kqw5qa May 09, 2015 at 12:38AM

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